多芯ケーブルとは?構造や種類、芯数による違いなどについて解説
多芯ケーブルとは、複数の導線(芯線)が1本にまとめられたケーブルのことです。
配線作業の簡略化や省スペース化などのメリットがあり、ロボットや産業機械の信号配線用や電力供給用に使われます。
「まずは多芯ケーブルに関する体系的な情報を知りたい」とお考えのメーカー担当者様もいらっしゃるでしょう。
今回は、多芯ケーブルの構造や種類、単芯ケーブルとの違いや芯数による違いなどについてまとめました。
ケーブルメーカーの立場から、難しい用語は極力使用せず、分かりやすく解説します。
記事を最後までチェックすれば、多芯ケーブルの基本的な概要について、ひと通り理解できます。
多芯ケーブルとは?
多芯ケーブルとは、複数の導線(芯線)が1本にまとめられたケーブルのことです。
以下画像のように、1本のケーブル内に2芯以上の導線を内包しています。
▲弊社で提供する多芯ケーブル
多芯ケーブルは電力供給や信号伝送のために、産業機械や制御装置、ロボット、通信設備など幅広い目的で使用されています。
多芯ケーブルを利用する主なメリットは、以下の2つです。
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配線作業の簡略化
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省スペース化
単芯ケーブルを複数本使用すると、配線が煩雑になり、誤配線のリスクが高まります。
多芯ケーブルは、効率的な配線や、信号伝送の安定性を確保するために役立ちます。
多芯ケーブルの構造
多芯ケーブルの構造は、以下4つに分かれています。
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シース
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導体
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絶縁体
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介在物
それぞれ詳しく見てみましょう。
シース
シースとは、多芯ケーブルの最外層を覆う保護被覆のことです。
外部環境からの保護や耐久性の向上を目的としています。具体的には、物理的な摩耗や衝撃、化学薬品、湿気などから内部の芯線を保護します。
多芯ケーブルが配置される場所は、以下のようにさまざまです。
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屋外
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高温環境
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ロボットの可動部
塩化ビニル、クロロプレンゴムなど、環境に適した素材を使用した多芯ケーブルを選びましょう。
導体
導体は、電力や信号を伝送する役割を持つ芯線です。
多芯ケーブルには複数の導体が含まれ、それぞれ異なる信号や電圧を運ぶために使用されます。導体の材質は銅が一般的です。
絶縁体
絶縁体は、導体同士が接触して短絡(ショート)するのを防ぐための被覆層です。
多芯ケーブルでは、各導体が個別に絶縁体で覆われています。これにより安全な電力供給や信号伝送が可能になります。
シースと同じように、動く頻度やケーブルの内部温度といった環境に応じて、使用する素材に注意しなければなりません。
介在物
介在物は、多芯ケーブル内部の導体同士の間に配置される部材です。
主にケーブルの構造安定性や柔軟性の向上を目的として使用されます。介在物がないと芯線が偏ったり、外力によってケーブルの形状が崩れたりします。
介在物として使用される素材の例は、以下のとおりです。
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綿糸・紙ひも
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合成繊維
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ジュート(黄麻)
多芯ケーブルと単芯ケーブルの違い
多芯ケーブルと単芯ケーブルでは、内部の導体(芯線)の数が異なります。
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多芯ケーブル:2芯以上の導体を1本のケーブル内にまとめたもの
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単芯ケーブル:1本の導体のみを持つケーブル
複数のケーブルが必要で、配線が複雑になる場合には、単芯ケーブルよりも多芯ケーブルがおすすめです。
ケーブルの本数を減らして、配線の簡素化と省スペース化を実現できます。
しかし大電流を扱う場合や、ノイズ対策をしたい場合など、単芯ケーブルを使用した方が良いケースもあります。
多芯ケーブルの種類
主な多芯ケーブルの種類は、以下の3つです。
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複合ケーブル
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VCT/VCTF
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KPEV
1つずつ詳しく見てみましょう。
複合ケーブル
複合ケーブルは、異なる用途やスペックの電線を1本のケーブル内にまとめた多芯ケーブルの一種です。
省スペース化や配線の効率化を図れます。
多芯ケーブルと同じく複数の電線が密集するため、ノイズや熱への対策が欠かせません。
弊社では特に「電力線+信号線」の組み合わせによる複合ケーブルの製造実績が豊富です。
詳しくは後述しますが、弊社のカスタムケーブルであれば、ノイズや熱への対策も可能です。
VCT/VCTF
VCT(ビニルキャブタイヤケーブル)とVCTF(ビニルキャブタイヤコード)は、多芯ケーブルの中でも汎用性が高い種類です。
どちらもシースと絶縁体にビニル(PVC)を使用しています。主に低圧電力供給や機器配線などに使用されます。
VCTとVCTFの主な違いは電圧です。VCTは交流600V以下、直流750V以下の電圧で使用され、VCTFは交流300V以下の電圧で使用されます。
使用電圧、耐久性、可動性などの要件によって、どちらが適しているかは異なります。
KPEV
KPEV(弱電計装ケーブル)は、使用電圧が60V以下の、小勢力回路用のケーブルです。
主に信号伝送に使用され、通信設備や工場の制御システム、計測機器などで広く採用されています。
KREVは、絶縁体にポリエチレンを使用しています。またシースにはビニルを採用しています。
多芯ケーブルの芯数による違いは?
多芯ケーブルは、芯数によって用途や特性が異なります。
芯数が増えるほど配線が簡略化され、信号伝送の集約が可能となります。しかしケーブルの太さや取り回しの難易度が上がる点に注意しなければなりません。
なかには50芯を超えるような多芯ケーブルも存在します。
通信・計測機器、制御システム、ロボットの配線などには、20芯以上の多芯ケーブルを使用するケースも珍しくありません。
多芯ケーブルはカスタムケーブルがおすすめ
ケーブルには、多芯ケーブルと単芯ケーブルがあります。そして一言で多芯ケーブルと言っても、芯数にはさまざまな選択肢があります。
またシース・導体・絶縁体・介在物に使われる素材も、1種類ではありません。
耐熱性に優れたものや、柔軟性がありロボットの可動部に適している素材などがあります。
既製品では、自社が求めるケーブルと完全に合致したものは、なかなか見つかりません。耐久性・ノイズ対策など、何らかの要素は妥協をすることとなるでしょう。
そこでおすすめなのが、カスタムケーブルです。
カスタムケーブルでは、芯数・耐環境性能・ノイズ対策・柔軟性・可動性を、すべて最適化できます。
まさにオーダーメイドで、ニーズに合わせたカスタムケーブルを使用できます。
多芯ケーブルを探している方は、ぜひカスタムケーブルも選択肢に入れてみてください。
カスタムケーブルはニューテックスにおまかせください
株式会社ニューテックスは、ロボットや産業機械に使われるケーブルを販売している企業です。本社は埼玉県富士見市にあり、2024年には創業60年を迎えました。
多芯ケーブルをはじめとする各種標準品のケーブルに加え、用途に応じたカスタムケーブルの設計・製造にも対応しており、幅広い業界のニーズに応えています。
カスタムできる内容・箇所は以下のとおりです。
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ノイズ対策:銅編組、横巻シールド、2重・3重シールド
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施工性:柔軟性、複合化、摩耗性
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細径化:構造検討(導体サイズ、絶縁体厚さ、シース厚さ、ケーブル構成)
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難燃性:UL VW-1試験対応、垂直トレイ難燃試験対応
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使用環境:耐熱性、耐油性、クリーンルーム 高張力化:特殊導体
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高屈曲性:特殊導体、特殊エラストマー
標準納期は1〜3ヶ月です。
他社が製造できない仕様にも対応可能で、一品一様のオンリーワン製品をご提供いたします。
まとめ
多芯ケーブルの構造や種類、単芯ケーブルとの違いや芯数による違いなどについて解説しました。
多芯ケーブルは、以下4つの要素で構成されます。
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シース
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導体
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絶縁体
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介在物
種類は複数存在し、使用する素材によって性能が異なります。
カスタムケーブルであれば、自社の状況に応じたケーブルを、1からカスタマイズ可能です。
株式会社ニューテックスでは標準品のケーブルに加えて、カスタムケーブルも提供しています。ぜひ以下より、詳細をご確認ください。
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